第4章の基礎編「ホワイトバランスを変えてみよう」で基本的な部分について取り上げましたが、応用編ではホワイトバランスの色温度を手動設定した作例について解説したいと思います。
第4章ではホワイトバランスの基本的な話や「太陽光」や「白熱電球」などの設定に変更した場合に色合いが変わることをお話しました。プリセットされたホワイトバランスでイメージしている写真が撮れれば理想ですが、撮影に慣れてくると「もう少し青みが欲しい」と思ったり、「もっと暖かみのある色合いにしたい」など思うはずです。
そこで、色温度をマニュアル設定する方法があります。色温度とは光の色味を温度に例えて表現したもので、
”ケルビン値(単位はK)”と呼ばれる数値で示されています。この数値が低いと赤み(赤かぶり)が強く、数値が大きいと青み(青かぶり)が強くなります。
さて、上記の説明を見て疑問に感じた方もいるはずです。例えばカメラのホワイトバランスを手動で2500Kに設定すると、夜景写真の場合は色合いが真っ青になるはずです。セミナーなどで受講者の方からも「カメラで色温度を低く設定すると青くなります。説明と逆では?」と聞かれることがあるのですが、逆になるのが正解です。
プリセットの設定でも「白熱電球(3200K前後)」だと青みが強く、「曇り(7000K前後)」だと赤みが強くなります。
カメラのホワイトバランスというのは、例えば白熱電球の光源化で赤かぶりしている被写体に対し、「白熱電球」の設定で青みをかぶせることにより、正しい白色を再現しようとしています。赤かぶりしている被写体に青みを足し、逆に青かぶりしている被写体に赤を足すことになります。赤→青、青→赤と逆の色を加えて中和させるのがホワイトバランスの本質になります。
なので色味が逆になるのが正しいわけです。
[ 白熱電球(3200K) ] 赤みが強い光 + カメラが青みを追加 = 正しい白を再現 |
[ くもり(6000K) ] 青みが強い光 + カメラが赤みを追加 = 正しい白を再現 |
例えば、車のルームランプを交換する場合、ランプのパッケージには色温度が記載されています。数値が大きいほど青みが強くなり、逆に数字が低いと赤みが強くなります。これはランプそのものの色合いを示しているためです。
ここまで色温度の説明をしましたが、実際に色温度をマニュアル設定して撮影した作例を紹介します。色温度の設定範囲はカメラによって異なるようですが、CANONやNikonのカメラは2500~10000Kの幅になっているようです。(機種によって異なる場合もあります)
夜景撮影の場合は、正しい白を意識する必要は無いので、好みの設定で大丈夫です。ただ、その場では色味のイメージがつかないと思うので、RAWで撮影して後からレタッチソフトでホワイトバランスを変更するのが良いでしょう。
[ 白色蛍光灯(4000K)] 肉眼で見る色に近いイメージを再現。白色蛍光灯は夜景撮影でよく使われる設定だ |
[ 手動設定(2500K)] 最も強い青みを足し、クールで真っ青なイメージに仕上げた |
[ 手動設定(10000K) ] 最も強い赤みを足し、燃え上がるような赤みのあるイメージに仕上げた |
色温度をマニュアル操作できるカメラは限られており、比較的中上級者向けのカメラには搭載されています。もしマニュアル調整ができない機種でも、RAW現像時にパソコン側で変更できる場合もあります。
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