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感動夜景

夜景写真家・フォトグラファー 岩崎 拓哉
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花火撮影準備編

夜景に比べて撮影が難しいと言われる花火。まずは場所取りやロケハンのポイントを徹底解説。

花火撮影は事前準備やロケハンが最重要

夏の風物詩と言えば花火。全国の花火会場は多くの人で賑わい、スマホ片手に花火の写真や動画を撮っている人であふれます。 花火撮影は写真の中でも人気のあるジャンルで、花火に特化した撮影本も発売されるほど。夏がメインの花火ですが、最近は 冬でも花火を開催する地域が増えました。冬の花火は空気が澄んでいてよりキレイに見えることでしょう。

花火撮影は一般的な夜景撮影よりも難易度が高いとされています。撮影テクニック的な面もそうですが、それ以上に場所取りが重要になってくるからです。 どんなに立派なカメラを持っていても、場所(条件)が悪ければ良い花火写真を撮るのが難しくなります。

ロケハン・場所取り・事前準備のポイント

まずは撮影を予定している花火大会の下調べから始まります。下調べでは花火大会のプログラム(打ち上がる花火の時間や種類など)を調べ、花火会場の地図などを確認します。 花火大会の案内はたいてい観光協会や自治体の公式ホームページがあり、ホームページ内には打ち上げ場所や交通規制などの地図が掲載されていることが多いです。 その中で打ち上げ場所を観覧場所を確認し、いくつか撮影場所の候補を決めておきます。撮影場所を1ヶ所に絞っても良いのですが、当日の気象条件によって撮影場所を変えざる得ないこともあるため、 複数箇所をピックアップしておくと良いでしょう。主なチェックポイントを以下にまとめました。

事前準備の7大チェックポイント

  • 地図で打ち上げ場所を確認
  • 花火の打ち上げプログラム(スケジュール)を確認
  • 地図を元に撮影場所を何カ所か検討する
  • 花火会場で三脚禁止エリアの有無を確認
  • 有料席・区画の利用も検討する(料金・場所・ルールなど)
  • 天気予報をチェックする(雨だけでなく、打ち上げ時間帯の風向きも)
  • 花火の打ち上げ数を確認。迫力ある花火写真を撮るなら1万発前後~のイベントを狙いたい
  • 三脚禁止の標識
    部分的に三脚の利用を制限する花火大会も
 

上記チェックポイントの中でも特に前もって確認しておきたいことが「三脚が使えるかどうか」です。花火は基本的にカメラを三脚に固定して、長時間シャッターを開けて撮影するので三脚が使えないと撮影のハードルが上がります。 会場のホームページに三脚利用の可否について掲載されていない場合、念のため電話などで問い合わせしておくと安心でしょう。また、有料席を確保すれば場所撮りをすることなく、良い条件で花火撮影が出来そうに思えますが、三脚が禁止されている可能性もあり、また足場が組み立てられた場所やデッキの上だと人が動いた時に足元の振動を拾ってしまいます。そのため、必ずしも有料席が良いとも言えません。

場所取り・ロケハンの7大チェックポイント

  • 事前に場所取りをする場合は最低でも2~3時間前、人気のある花火大会なら5~6時間前からロケハンしたい
  • 花火の打ち上げ場所から3~400m前後がおすすめ。3~400mより近くても遠くても基本的には問題ない
  • 河川敷であれば段差や斜面を確保すれば、前後の人の邪魔にもならず、撮影しやすい
  • 天気予報をチェックし、なるべく「風下」にならないように確認(花火の煙が風下に流れ、視界を遮るため)
  • 有料席を利用する場合は「足場が安定しているか」「三脚が使えるか」を必ず確認。座席を選べるなら最前列が理想
  • 照明の近くや目の前に視界が遮る木々や仮設テントなどがある場所は避けたい
  • 早めに着いたら三脚を設置しておき、周りに写真を撮ることを三脚でアピールしておきたい
  • 河川敷の斜面
    斜面で見晴らしは良いが、仮設テントが気になる
  • 河川敷の最前列
    目の前の草木が視界を遮るのが惜しい
  • カメラマン専用席
    有料席に設けられたカメラマン用区画(まさに理想)
 

花火会場に着いたら地図を参考に打ち上げポイントなどを確認し、なるべく斜面や階段などの場所を確保しましょう。ただし、斜面でも目の前にテントがあったり、視界を遮るような木々や照明器具があれば避けるようにします。夜空に上がる単発の花火を撮るだけなら場所はそれほどこだわりませんが、花火会場全体や水辺に打ち上がるスターマインを綺麗に撮るなら良い場所を確保したいものです。

花火撮影に必要な機材

花火撮影の場所がキープできた前提で、次の話に進みたいと思います。花火撮影に必要な機材ですが、一般的な夜景撮影とそれほど大きな違いはありません。特別に機材を用意するとすれば、NDフィルターぐらいでしょうか。 コンパクトデジタルカメラでも花火は撮れなくないですが、できればマニュアル露出(シャッター速度や絞りを自由に変えられるカメラ)対応の機種を持参したいところです。

花火撮影に必要な機材

  • (1)カメラ本体 ※バルブ撮影ができるデジタル一眼レフやミラーレスを推奨
  • (2)交換レンズ ※フルサイズ換算で24-105mm前後のレンズが便利
  • (3)三脚 ※重たくても安定したものが良い。雲台は3ウェイがおすすめ
  • (4)レリーズ・リモコン ※バルブ撮影に必須
  • (5)NDフィルター ※まずはND4を1枚用意したい
  • (6)メンテナンス用品 ※ブロワー、レンズクロス、LEDライトなど
  • (7)その他 ※レジャーシート、雨具など
  • 花火撮影の機材
    レンズは標準ズーム一本で済むことも
  • NDフィルター
    77mm用のND4を装着
 

ここまで撮影場所のロケハンや機材について紹介してきましたが、次の「花火撮影実践編」では機材のセッティングから撮影方法、花火写真の作例紹介まで取り上げたいと思います。またスマホで花火を撮るときの注意点も解説します。