MENU

感動夜景

夜景撮影に適した三脚・雲台の選び方のタイトル画像

夜景撮影に適した三脚・雲台の選び方

夜景撮影には昔から三脚が欠かせないものと言われています。最近のカメラは高感度でも綺麗な夜景写真が撮れるよう進化していますが、本格的に綺麗な写真を撮ろうとすると三脚はまだまだ必要だと言えます。そこで、三脚の選び方や基本的な知識についてまとめてみました。

夜景撮影に三脚が必要な理由は?

結論から言うと夜景撮影には三脚は必要だと言えます。最近はカメラの高感度化が進み、ISO感度も万単位にまで上げられるようになり、ノイズも以前のカメラほど目立たなくなってきました。ただし、高感度に設定して写真を撮る場合はシャッター速度が低速になってしまうため、光跡や水面に反射した明かりをなだらかに写すような表現はできません。三脚があることで作品の表現は格段に広がり、シャッター速度や絞りなど設定が自由自在になるわけです。三脚は夜景撮影以外に記念写真や集合写真の撮影にも使えるので一本でも持っておくと重宝するでしょう。

三脚

三脚が不要?なシチュエーションもある

私は夜景撮影時に9割以上の割合で三脚を使いますが、以下のようなシチュエーションに限っては三脚を使わないで撮影する場合もあります。

(1)三脚の使用が禁止された施設

最近、増えているのが三脚の使用を禁止している展望室。東京都内は特に三脚禁止の場所が多く、特に東京都庁の場合は三脚だけでなく、暗幕や固定具全般が禁止されています。他にはレインボーブリッジや東京ゲートブリッジなどの歩道も三脚が禁止になっています。

日本一?厳しい撮影ルール

(2)クルーズ船など足場が揺れる場所

工場夜景ブームにより、クルーズ船からも夜景が楽しめます。船上からの撮影には足場が揺れるために三脚が意味をなさず、必然的に手持ちで夜景を撮る必要があります。高感度に強いカメラとF値の低いレンズが必須となるでしょう。

クルーズ船の船上

(3)高感度対応のカメラで近景を撮る場合

ここ1・2年の間に発売されているデジタルカメラは急速に高感度化が進み、感度を上げてもノイズが目立たなくなりました。私が利用しているEOS 6Dも高感度に強く、三脚が禁止された東京ゲートブリッジでISOを12800まで上げても、あまりノイズの目立たない綺麗な写真が撮れました。

手持ち夜景

三脚の種類

さて、本題に戻りますが上記のようなシチュエーションを除いて、基本的に夜景撮影は三脚が必要になります。三脚を選ぶ上で三脚自体の種類を知っておくと、自身に合う三脚が選びやすくなります。まずは脚の種類を見ていきましょう。

(1)脚の材質:カーボン製かアルミ製か

三脚を選ぶ時にまずは素材を選ぶ必要があります。三脚には大きく分けてカーボンとアルミがあります。
私が夜景撮影を始めた頃は安価なアルミ三脚を使っていましたが、三脚を持った時に手が冷えてしまうのと 重量が気になったため、現在はカーボンの三脚を利用しています。夜景スポットは足場が揺れやすい場所も多く、 カーボンの方がわずかに振動に強いので、結果としてカーボンの三脚を選んで良かったと思っています。予算に余裕があるのならカーボンをおすすめします。

[ カーボンの特徴 ]

  • 軽量で安定感は普通
  • 振動に強い
  • 高価
  • 寒い場所でも脚が冷たくなりにくい

[ アルミの特徴 ]

  • 重たいので安定感がある
  • 振動に弱い
  • 安価
  • 寒い場所では脚が冷たくなる
カーボンとアルミの比較
写真の左が「カーボン」、右が「アルミ」

(2)脚のロック部分:ナット式かレバー式か

次に脚のロック部分を見てみましょう。ナット式という脚の節目の部分を回して固定する方式と、レバーで固定する方法があります。レバーの方が操作が早く、初心者には扱いやすいのですが、耐久性ではナットの方が部品構造がシンプルで優れていると言われます。プロのカメラマンはナット式の方が多いようですが、私の場合は脚の収納のしやすさを意識し、レバー式を愛用しています。脚のロックは好みで選んで大丈夫でしょう。

三脚のレバー式・ナット式
写真の上が「レバー式」、下が「ナット式」

(3)脚のパイプの太さと重量

続いて重要なのが同じ脚の材質であってもパイプの太さによって安定性や重量が大きく異なることです。右の写真を見て頂くと、上の三脚と下の三脚ではパイプの太さが全く異なることがわかるはずです。上の「Velbon E740」は直径32mm。下の「Velbon E445M」は直径22mm。重量も当然変わって来ますが、搭載できるカメラの推奨重量が前者は約7kg、後者は約2.5kgと3倍ほどの開きがあります。当然、前者の方が三脚としての安定性があり、少々の強風にも耐えられるほどです。反面、後者は重量が軽いので旅行でも持ち歩きがしやすいため、海外での撮影に重宝しています。理想は撮影シーンによって三脚を使い分けることです。

脚のパイプの太さを比較
写真上の三脚が直径32mm、下の三脚が直径22mm。

(4)脚の高さ

最後に重要な点として脚の最大の長さを前もってカタログなどで調べておく必要があります。夜景撮影は右の写真のようにフェンスの前で撮影するケースが多く、三脚の高さがフェンスよりも低いと撮影が出来なくなってしまいます。そのため、最低でも高さは150cmぐらいのものを用意したいところです。扱う人の身長にもよりますが、160~170cmぐらいあると安心でしょう。

脚の高さ

(5)脚の段数

三脚の脚は一般的に3段のタイプと4段のタイプが発売されています。例えばベルボンのジオ・カルマーニュシリーズの場合、"E730"が3段、"E740"が4段と、型番を見て一目で3段か4段かを区別できます。一般的には以下の特徴が挙げられますが、今回はE730とE740をベースに比較してみました。

型番 全高 縮長 重量 価格(税別) 安定感 セッティングの早さ
E730(3段) 1910mm 700mm 2350g 96,600円
E740(4段) 1770mm 570mm 2280g 100,000円

3段と4段を比較すると3段の方がメリットが多いように見えますが、縮長時の小型化ができる点では 4段の方が優位性があります。安定感重視なら3段、持ち運びやすさを優先するなら4段が良いでしょう。

雲台の種類

次に雲台の話に入りますが、大きく分けると雲台には「2Way雲台」「3Way雲台」「自由雲台」の3種類があります。夜景撮影には3Wayの雲台がおすすめですが、特徴を比較してみたいと思います。

2Way雲台 3Way雲台 自由雲台
[ 2Way雲台 ]
安価なファミリー用三脚に採用されています。基本的に回転を含め、2方向にしか(残りの1方向は微調整程度)調整ができないため、夜景撮影には不向きです。集合写真や記念写真用であれば問題ありません。
[ 3Way雲台 ]
水平と垂直方向を自在に調整できる雲台で、夜景撮影の現場で最も多く使われています。迷ったら3Wayがおすすめです。水準器はカメラに設置した方が精度が高いので無くても大丈夫です。
[ 自由雲台 ]
名前の通り、あらゆる方向に自由自在に動かせますが、特定の方向に調整するのが難しいので利用者は少ないです。小型で軽量なので荷物がかさばらない点では優れています。

外付けのクイックシューがあると便利

あとは全ての人に必要な機材ではありませんが、雲台に外付けのクイックシューを取り付けるとカメラの取り外しがスピーディーになり、準備・片付けの時間を短縮できます。雲台に標準装備されているクイックシューでも良いのですが、プレートの方を忘れてしまうと三脚が使えなくなってしまいます・・・なので、後付けでクイックシューを付けるようにすれば、万が一プレートを忘れてもクイックシューごと外せば普段通り使えます。

クイックシュー

右の写真はクイックシューの設置例。クイックシューが無い状態だと毎回、ネジで固定する必要があるが、 暗い場所ではネジの固定が難しく、固定具合が悪いとカメラを落としてしまう危険性も。

クイックシューの取り付け例

夜景撮影に適した三脚とは

ここまで三脚や雲台の種類について取り上げてきました。最後に夜景撮影に適した三脚選びのポイントをまとめたいと思います。今後、三脚を買われる方の参考になれば幸いです。

(1)雲台は迷わず「3Way」がおすすめ

(2)全高はできれば150cm以上

(3)予算が許す限りカーボン製がおすすめ

(4)積載重量はミラーレス・デジタル一眼レフを使うなら最低2kg以上を目安に

夜景撮影講座・ツアー

夜景撮影講座・ツアー

関東を中心に夜景撮影スポットを巡るイベントを随時開催中

川崎工場夜景や東京ベイエリアなど、人気の夜景スポットを公共交通機関や貸切バスで巡ります。

事前に撮影セミナーを実施(現地またはオンライン)しており、カメラ・夜景撮影初心者も気軽にご参加いただけます。

イベントの詳細はこちら
ゼロから学ぶ工場夜景写真術

夕景・夜景撮影の教科書

技術評論社

夕景・夜景撮影の基本から応用テクニックまで解説するガイドブック。 「気象」「場所」「機材」「技術」の4つのポイントを詳しく解説し、定番のジャンルから光跡・多重露光・手持ち撮影・RAW現像まで幅広くレクチャー。2017年11月22日発売。

全国の書店にて予約受付中!(2,178円・税込)

詳細はこちら